ローザス医療ニュースブログ


緩和ケア促進プロジェクト

こんにちは。
看護プロの吉場です。

本日のニュースは、緩和ケアに関してです。

がん等を患った際、どこで療養生活をし、最後を迎えたいか。
約4割の方が自宅を希望しているのに対し、
実際9割以上が病院で亡くなっているという現実をご存知の方も多いかもしれません。

今回、がん患者への緩和ケアを推進する取り組みで、
地域の患者さんの自宅死亡率が1.9倍になったというニュースがあったのでご紹介いたします。

2008年から5年間、山形県鶴岡市や千葉県柏市など、4つの地域で
「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」が行われました。
実際に行われたことは、

地域の人、患者、家族向けに・・・
・緩和ケアに関する相談窓口を開設
・緩和ケアや在宅ケアに関する地域住民の方が参加できる講演会を地域で企画
・主治医と緩和ケアの専門家とが相談できる体制の整備

医療福祉従事者向けに・・・
・医師、看護師、薬剤師、社会福祉士など医療福祉関連職が、
 緩和ケアに関する問題を共に考え、解決するための情報交換会を開催
・依頼により緩和ケアの専門家が、ほかの医療機関に出向いて診療する「出張緩和ケア研修」を実施
など。

この取組みを通して、
がん患者の自宅死亡率は、4地域で介入前(07年)は6.8%だったのが、介入後(10年)は10.5%に大幅に増加。
ある地域では7.0%から13.0%へと、1.9倍になったそうです。

このプロジェクトのポイントは、
様々な医療従事者のネットワークができたことにより、
患者さんの情報交換や相談、適切な判断がスムーズにできるようになったこと。
誰に何を相談すればいいか、顔の見える関係ができあがったことが、成果が出た要因だそうです。

まだまだ日本では、患者さんが希望する場所で療養できる体制が十分に整備されていませんが、
このような取組みがひろがり、
患者さんの苦痛が少なく、希望する場所で療養できるシステムが全国的にも構築されるといいですね。

ちなみに、緩和ケアに関して、
日本は欧米諸国より遅れ気味・・・
緩和ケア病棟や、地域の緩和ケア支援体制の少なさ、
医療用麻薬の使い方も全く異なるようです。

希望にあった最期が迎えられる仕組みが、
より整った社会になっていくといいですね。

株式会社ローザス

2013年01月27日カテゴリー:医療全般