ローザス医療ニュースブログ


「責任」の違い

先日、有料老人ホームへの入職をお考えの看護師の面談で
次のようなやり取りがありました。

看護師「IVHは、導入していますか?」

施設長「現在はしていませんが、今後は導入を考えています。将来的には、必要性が高まると考えているので、今からチャレンジする必要があると思っています。」

看護師「でも、なにかあった場合の責任は看護師が負うんですよね?」

施設長「いや、当施設ではそのような考え方をしておりません。看護師の方一人に責任を押し付けたりは、絶対にしません。そういった場合は、施設全体の責任と考え、施設長、ケアワーカーも含め、問題点を解決していきます。」

この会話、成り立っているようで成り立っていないのですね。

看護師が質問しているのは、「法的な責任」。
施設長が回答しているのは、「組織内部での責任の所在」。

微妙な会話のズレですが、
これは介護の現場で起こっている問題点が顕著に表わしている例です。

サービスの利用者の視点から考えた場合
根本的には、介護と看護の境界線はないです。
利用者が快適な生活を送るために必要なものであれば、よし。
介護保険が適用されるか、医療保険が適用されるか、そこが問題なだけ。

なので、サービスの提供者側(施設)からすると
良いサービスをしようとする以上、意識的には介護と医療の垣根を低くする。

これは、当然のこと。

ただ、医療行為には大きな責任が伴います。
有料老人ホームの場合、医師は常駐していないので
医療行為ができるのは、看護師のみ。

ここには、法的な責任が生じます。

なので、リスクが高い医療はなるべくしたくない看護師が多い。
やるのであれば、きちんとした環境が整っている場合に限る。
というのが、大部分の看護師の素直な気持ち。

結論としては、
サービスを提供する際の介護・医療の垣根を低くするのは当然。
一方で、医療提供者しかできないこと=責任を負うことに関しては
医療サイドの判断をきちんと尊重する必要があります。

いざ、なにかあった際には、組織として庇おうとしても
法律的にムリなケースは多々ありますからね。

備えあれば、憂いなし。

柴崎

2009年11月18日カテゴリー:医療全般