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2030年には47万人が「死に場所難民に」?立ちはだかる2025年問題

皆さんは「2025年問題」という言葉をご存知ですか?

これは、団塊の世代が全て75歳を超えて後期高齢者となり、医療や介護の提供体制が追い付かなくなるという問題です。

さて、この「2025問題」によって実際に何が起こることが想定されるでしょうか?
大きく分けると2つ問題が起きる事が想定されます。

①社会保障費の膨張
②医療・介護の人材不足

以上の2点です。

まず、1つ目の問題ですが、年金をはじめとする社会保障費は、現在の約120兆円から、2025年には総額150兆円に増えると考えられます。

日本の社会保障費抑制の解決策は2つしかありません。
それは税金や保険料などの負担を増やすか、年金支給開始年齢を引き上げるかのどちらかです。
現に、60歳から65歳への年金支給開始年齢引き上げも最終段階にさしかかっています。
また、今後、支給開始年齢は『70歳』へと更なる引き上げも検討されるなど、対策が取られるでしょう。

しかし、実際、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるという事を考えると医療や介護費等社会保障費が膨張することは間違いないです。

また、2つ目の問題ですが、現在では、約75%の人が病院で亡くなっていますが、今後高齢者が増える事を考えると病院のベットの数が足りなくなることは容易に考えられます。
しかし、ベットが無いからと言って「自宅で最期を迎えたい」と望んでも、今のままでは在宅医や訪問看護師、訪問介護ヘルパーなど必要な人材は確保する事ができず、その希望すら叶えることは難しいでしょう。

自宅で看取りをしようとしても、自宅で亡くなる場合はかかりつけ医がいないと「不審死」として扱われてしまい、警察に届けを出さなければいけません。

事実、厚生労働省は「2030年には約47万人が死に場所が見つからない”死に場所難民”になる可能性がある」と警告しています。
これは、自宅や病院、介護施設で亡くなるのが難しくなるということを示しています。

しかし、こういった現状の中でも行政や医療関係者は中々動き出してくれません。
国は「住み慣れた地域で最期まで」をスローガンに、在宅医療や介護の充実を軸にした「地域包括ケアシステム」の構築を急いでいますが、対策を取ろうと本格的に動き出したのはわずか数年前のことです。

その中で、まだ少数ではありますがこの状況を危惧し対策を行っている「先進的な自治体」をご紹介させていただきます。

■神奈川県横須賀市
・2011年より、市や医師会が中心となって「在宅療養連携会議」を立上げて対策を議論。
∟地域を4ブロックに分けて拠点病院を中心に在宅医を増やす為の取り組みをしたり、市民に在宅医療に関する「出前講座」を開催。

■横浜市
・在宅医と介護施設のケアマネが協力して施設での看取りを実現。

■東京都三鷹市≪三鷹の嚥下と栄養を考える会≫
・口から食べ物を取ることが出来なくなった高齢者にとろみをつけたお酒やおつまみを提供する「介護スナックの実現」。

■福岡県大牟田市
・認知症の高齢者を地域ぐるみで見守る。
 
このように、2025年問題に立ち向かおうと各地域がさまざまな取り組みを始めています。
しかし、こういった自治体は少数派で、地方都市では高齢化への対応より、都市開発の方に力が注がれていることも多く、まだまだ行政関係者の意識は低いという声もあがり、自治体間や地域間の意識の差をどう縮めていくかが大きな課題になりそうです。

最後に、この「2025年問題」に強い危機感を持った朝日新聞横浜総局では、神奈川版で「迫る2025ショック」を連載しています。

これは、横浜総局の記者が、在宅医療や介護を巡る現場を歩き、一緒に問題解決に向けて考える企画です。
問題提供や解決の糸口を探す参考にもなるかもしれません。
気になる方は、是非ご覧ください。

2016年10月03日カテゴリー:未分類