ローザス医療ニュースブログ


医療機関を通じた詐欺とは?

こんにちは。
看護プロの柴崎です。

最近、「医療機関債の詐欺で逮捕!!」といった記事を目にします。

ウォールストリートジャーナル

今回は、この医療機関債なるものの仕組みについて、簡単に解説します。

医療機関債は、厚生労働省によって認められている制度です。
債権とは、簡単に言うと「借金」。
通常、銀行等の金融機関から借り入れをするわけですが
金融機関以外の幅広い法人・個人から、お金を集める点に特徴があります。

いままでのケースでは
購入者を法人職員に限定したり、
地元の中小企業・住民及び地銀を対象に公募をしたケースなどがあるそうです。

借り入れたお金を使う用途は、資産取得に限定されています。
・病棟の建て替え、移転
・最新鋭設備の導入
等を行うことがほとんど。

ちなみに、発行主体は「医療法人」のみ。
法人格を持たない病院や、社会福祉法人、財団法人、公的医療機関の病院は発行ができません。

今回の詐欺は、まだ詳細の解明されていないので、推測になりますが
もともと医療機器等を取得する気がないにもかかわらず、医療機関債を発行し、
10億を超えると言われる金を、他のどこかに流用したのでしょう。

ちなみに、なぜこれだけの規模に話が大きくなるまで、事件が発覚しないのかと言うと
医療機関債の発行に関して、監督官庁に届出する義務がないことが挙げられます。

要は、被害額が大きくなって
「貸したお金(債権)が、返ってこない!」と、大勢が騒ぎ出すまでは、誰も把握できない訳です。

今回は、
・約束されていた利息が、払われないこと
・この法人が経営している「唯一」のクリニックも診療が、休止したこと
が契機となり、大騒ぎになったようです。

ちなみに、この法人と同じ手口で
医療法人社団「みらい会」(山梨県富士吉田市)と、医療法人社団「心の絆」(埼玉県蓮田市)の名前でも
医療機関債発行が行われていたとのことです。

後者に関しては
同法人自体が、「当院は関係ない。そもそも医療機関債発行の予定もない。」と発表しているので
完全に名前を使われてしまっただけのようです。
いい迷惑ですね。。

なかなか興味深い事件なので、今後もウォッチしていきたいと思いますが
まずは、「元本割れのない安全、高金利の商品」はないことを肝に銘じましょう。
金融商品の大原則は、「リターンと同程度は、リスクがある」ことですから。

看護プロ
柴崎

2013年02月12日カテゴリー:医療全般