ローザス医療ニュースブログ


出生前診断

こんばんは。看護プロの笠木です。

夏休みをいただいていたりとバタバタしておりまして、
すっかりブログの更新が遅くなってしまいました。

大変失礼いたしました。

さて、今日取り上げたい話題は先日偶然テレビで見た
「出生前診断」についての話題です。

実はお恥ずかしい話、「出生前診断」という言葉自体、
独身の私はあまり馴染みのない言葉だったのですが、1960年代以降に登場した、
生まれてくる胎児に障害があるかないかを判定する検査の総称を指す言葉で、
ここ数年、飛躍的にその精度が向上したことから、
多くの便益を生みつつも、一方で、様々なジレンマを生んでいるとのことでした。

そもそもこの話を知ったのは、先週放映されたNHKのドキュメンタリー番組
見てのことですが、その番組の中では、大阪にある「出生前診断」を専門に
行っているクリニックを通して、胎児に障害があると診断された
両親をはじめとする家族の葛藤や、その後の生活についての紹介がなされていました。

単に診断を下すだけではなく、診断後、その子供を産むかどうかの判断を
下すまでのサポートや、その後のケアに真正面から取り組む医師、
また、当事者である両親、それを取り巻く家族の姿は
それぞれの人々のある種の凄みと同時に、
この問題の難しさを深く印象付けるモノでした。

当事者の苦悩は当然ですが、障害を持った人の支援団体に勤務する人からは、
診断自体に対して倫理的な観点から問題がないわけではないといった意見もあり、
話をサンデル教授にお願いして整理して欲しいと思うぐらい、
複雑、かつ難しいテーマと感じました。

こうしたジレンマを生み出す一方で、出生前診断があることで、
自分自身に障害を抱えている両親が子供を作る精神的なハードルを軽減する、
つまり、ある意味、逆説的ではありますが、
出生前診断があることで生まれる命もあるわけです。

障害があることがあらかじめ分かっていれば、それに対する準備もできるわけで、
この技術は、世の中に貢献している技術と言えることは
間違いないとも思いますが、私なんかは、いっそ、
自分が人の親になる時は、この検査は受けない方がいいかな・・・なんて、
安直に考えてしまいました。

ホント難しい問題ですね。

2012年09月19日カテゴリー:雑談