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欧州債務危機と社会保障への影響

こんにちは。
の柴崎です。

今日はちょっと小難しいことですが
欧州債務危機を見て、そこから日本の将来を考えてみたいと思います。

■ヨーロッパ債務危機の概観
デフォルト寸前:ギリシャ
デフォルト候補:ポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリア

・原因:
バブルが弾けた等の意見も多いが、ここまで悪化している最大の要因は「財政悪化」。
要は、「国の借金が大きすぎて、返済できないのでは?」という懸念が広まった。
発端である、ギリシャの国債がデフォルトになると
デフォルト候補になっている国の国債も大幅に価値が下がり
その国債を持っている銀行の経営危機・破綻に繋がる可能性がある。

・対策:
財政悪化に対する対策は、財政再建。
シンプルに言えば、「増税」か「支出削減」かのいずれか。もしくは、その両方。

→ギリシャの例:参考資料1
増税:VAT増税、たばこ・酒の税率引き上げ、燃料税等の導入
支出削減:公務員給与・ボーナスカット、年金カット、公共投資・補助金の廃止・縮小

■年金・医療分野への影響
・年金支給年齢引き上げ(61歳→65歳):ギリシャ。
・年金受給額減額:ギリシャ。ポルトガルは議会が否決。首相が退陣。
・薬価の統一:ギリシャ。ジェネリックを使って価格を下げる、新薬も値段を低く抑える。
・統一電子カルテの導入、調達システムの統合
→医療サービスの低下にダイレクトにつながるような政策は実施されていない。
年金問題については、ギリシャではデモ・暴動が頻発。デフォルト寸前でも納得できないという、国民受けの悪い政策です。

■日本で起こる可能性=起こります!
・日本の状況
観点1:債務残高の対GDP比。ぶっちぎりNO,1! *参考資料2
→ただし、国内で国債消化できている点が他国とは異なる。伸び率も異常。。

観点2:貯蓄率は大幅に低下 *参考資料3
→国内で国債消化できる余地がなくなっている。つまり、借金はもうできない。着実に財政再建するしかない。

観点3:日本の租税負担率は低い *参考資料4
→まだ税率を引き上げる余地がある。法人税は高く、個人への負担は低いのが日本の特徴。税金は増やせそう。。

観点4:社会保障費の対GDP比:OECD平均とほぼ同じ。先進国の中では、低い部類。。 *参考資料5

→つまり、社会保障費を削るのは「絞ってある雑巾を、さらに絞る」ことに近い。

・結論
冷静に見れば、国債にこれ以上頼るのはムリ。増税しかない。
だが、破綻する直前までいかないと、制度は変わらない。と思わる。

問題の解決策は
1.租税負担率を欧州並みに引き上げて、財政を均衡させる
2.ムダを削って、財政を均衡させる
のどちらか。

ただし、高齢化にともない急速な伸びを示す社会保障費は、実は他国と比較すると低い(観点4)。
つまりここを大きく削減するのは、「現状より、著しく低い年金・医療サービス」という現実を受け入れねばならない。
高齢者が増える中で、これは現実的ではない。
よって、1.租税負担率の引き上げ=増税が、理論的には正しい。

ただ、「増税」は選挙受けが悪く、実現可能性が低い。
よって、ギリシャのような状態になり、IMFなり他国なりに干渉されないかぎりは
自助努力で解決することは難しいように思われる。

起こるタイミングは予想しずらくはありますが、
これが日本の将来像であると、今のところ考えています。

2011年09月13日カテゴリー:医療全般